ドラッグ&ロックン・ロール

音楽活動報告、よく思考のまとめを行います

芸術に触れる時間


芸術
美術館 


塩田千春展というのを六本木に観に行った時の事です。

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「すごい数の糸だ。」

 

これがまず始めに感じた感想です。

 

僕は大抵美術展に行くと、ぼーっと観て終わるか、「難しい!わかんない!ハイ次!」と矢継ぎ早に作品を見て、いくつか展示されてる物のうちの気に入った作品の前をうろちょろするのが常です。

 

ですが今回は違いました。なんとまあどの作品も、とても興味を惹かれたのです。

 

ここから下は美術展に行った時によくするメモみたいなものの一部なんですが、せっかくとても興味を惹かれた展示だったので写真と共にブログで公開しようとします。

※撮影可能なブースが多い展示でしたので、写真が好きな人にはオススメです

 

 

塩田千春展

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彼女の作品には共通して、ある種の執念にも似た緻密さの中に一瞬、諦めにも似た大雑把・怠惰と受け取れる間の抜けた時間が存在していた。180度方向性の違う性質のこの2つだが、人間という枠に収めるとその共存に納得できる。機械的でもなく自然現象でもない、人為的に作られた作品の中に内包された矛盾、不釣り合い、その他混沌とした感覚の正体は、作者が人間だからであり、人間が成した物事だからという理由が1番しっくり来る。そして人間であるがゆえにこの矛盾が作為的ではなく自然現象である様に思う。言い換えれば人間によるお決まりのパターンとも言える(機械的の言い換え)。

 

 

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大雑把・怠惰が垣間見れる部分の一部抜粋


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全体

 


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・そして彼女の作品その多くに対して私は、理解できない行為や、作品そのものが持つグロテスクからくる拒絶や嫌悪といった感覚を想起させる要因が溢れ出ていると感じざるを得なかった。しかしそれを否とせず、良しとして見続けていくと、普遍的に滲み出た自分自身への嫌悪から解放され、細部にまで目を行き渡らせることが出来た。

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(映像作品)

 

一体何を表現したいのか、それはどんなに塩田千春に詳しい人から説明されたとしても実際理解出来ないだろう。これらの作品を見た瞬間から先部まで見続けた時間の中に一貫して感じる感覚は、創作過程こそに非常に意味があり、一方で出来上がった物への執着、言い換えれば終わらせ方への執念がまるで感じられないという事だった。そしてそれらが前述した緻密さと大雑把さの共存の様にも取れる。そしてそこに私はある種の物語を感じざるを得なかった。

 

 

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・一方で、大部屋に小道具大道具と共に張り巡らされた黒の糸によるインスタレーションは、執着や執念というものは一切感じられずにただただ繊細で緻密さに満ちた、創作過程が一切想像出来ない物だった。そしてその大部屋全体に張り巡らされたインスタレーションには、作品としての最後の一線までにこだわりを感じ、終わらせることへ向かって行く途方も無い時間を感じた。

無心、とも言うべきか、どう行ったらわからないけれど、目の前に現れたスクリーンに映し出された絵に向かって走る様な、頭の中ではすでに完成形が見えている様なそんな感覚。

 

 

 

閑話休題

 

とまあ、展示を観ながら真剣に思った事をメモした感想文みたいなものと一緒に今日はブログを書きました。

こうやってメモを見返してみると、なんだか自分じゃない様な程に真剣に観てるなあとちょっと嬉しくなりますね。

 

普段美術展を見に行く時は、さも分かったふりをアピールして顎に手を当てながらジッと作品を見つめて、頭の中では「ふーーんよく分からないけど凄いや。でも興味なし!」とか考えてるんですが、この日はきっと僕はとっても興味が惹かれてました。

 

なんのことはないブログですけど、こんなのでもしこの展示に興味が出たら、行ってみてください。触るのだけダメだけど、芸術作品の中に入れるタイプのインスタレーションなので凄く面白いです。

 

塩田千春展 六本木 森美術館

10/27(日)までやってるそうです。

素晴らしい個展でした。感謝します。